算数の文章題でつまずく原因と読解力の鍛え方 - 国語力と算数力の関係
中学受験算数で「計算はできるのに文章題が解けない」という子は非常に多いです。実は、算数の文章題には3つの読解スキルが必要で、これらが不足していると正しい式を立てられません。
この記事では、文章題でつまずく原因と、国語力と算数力を同時に伸ばす具体的な練習法をご紹介します。
文章題でつまずく子の3つの共通パターン
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「問題文を読んでも、何を計算すればいいのか分からなくなります...」
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「文章題には、計算力とは別の『読解スキル』が必要なんじゃ。まずは、どこでつまずいているか見極めよう!」
パターン1: 「何を求めるか」を見失う
文章題が苦手な子の最大の特徴は、問題文を読んでも「何を答えればいいか」が分からないことです。
よくある失敗例:
たとえば、「太郎君は1200円持っていて、本を買ったら300円残りました。本の値段はいくらですか?」という問題で、「1200 + 300 = 1500円」と答えてしまうケースです。
これは、「何を求めるか」という問いの本質を理解できていないサインです。
パターン2: 登場する情報を整理できない
文章題には多くの情報が登場しますが、それらの関係性を整理できない子も多いです。
情報整理が苦手な子の特徴:
比と割合の文章題で特につまずきやすい理由は中学受験算数「比と割合」がわからない子への段階的指導法をご覧ください。
たとえば、「リンゴを15個買って、そのうち3個を食べて、残りを5人で分けました。1人何個ずつもらえますか?」という問題で、「15 ÷ 5 = 3個」と答えてしまいます。
「3個食べた後」という情報を処理できていないのです。
パターン3: 問題文を正確に読めていない
算数の文章題は、一言一句が重要です。しかし、斜め読みや思い込みで誤読してしまう子が多いのです。
誤読の典型例:
これは国語力の問題ですが、算数でも致命的なミスにつながります。
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算数文章題に必要な3つの読解スキル
文章題を解くには、以下の3つの読解スキルが不可欠です。
スキル1: 「問いの抽出力」
問題文から「何を求めているか」を正確に抜き出す力です。
練習方法:
1. 問題文を読む前に、最後の一文だけ読む
2. 「〜を求めなさい」「〜はいくつですか」に線を引く
3. その答えが「単位」で何か確認する(個、円、km、時間など)
この習慣をつけるだけで、見当違いな答えを書くミスが激減します。
スキル2: 「情報の図式化力」
文章で書かれた情報を図や表に変換する力です。
代表的な図式化の方法:
図形問題での図式化については中学受験算数「図形問題」が苦手な子への教え方で詳しく解説しています。
たとえば、「太郎君は1200円持っていて、本を買ったら300円残りました」という問題なら:
```
|-------- 1200円 --------|
|-- 本の値段 --| 300円 |
```
このように線分図を描けば、「1200 - 300 = 900円」とすぐ分かります。
スキル3: 「関係性の理解力」
登場する要素のつながりや順序を把握する力です。
関係性のパターン:
これらを矢印やキーワードで視覚化することで、複雑な関係もスッキリ整理できます。
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「図を描くと、問題の構造が見えてきますね!」
🦉
「その通りじゃ!文章題は『国語+算数』の総合問題なんじゃよ。次は具体的な練習方法を見てみよう。」
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国語力と算数力を同時に伸ばす練習法
文章題の読解力を高めるには、国語と算数を横断する練習が効果的です。
練習法1: キーワードマーキング
問題文を読むとき、重要な言葉に印をつける習慣をつけましょう。
マーキングすべき言葉:
この作業をするだけで、問題の構造が見えてきます。
練習法2: 「問題文→図」変換トレーニング
文章を読んだら、必ず図を描く練習をしましょう。
ステップ1: 簡単な問題から
ステップ2: 徐々に複雑に
ステップ3: 自分で問題を作る
練習法3: 「式が合っているのに答えが違う」問題の分析
多くの子が、式は正しいのに最終的な答えを間違えることがあります。文章題の理解度を自己評価する方法はメタ認知を鍛える勉強法も参考になります。
原因と対策:
|------|------|
| 単位を間違える | 答えに単位を必ず書く習慣 |
|---|---|
| 途中で何を求めているか忘れる | 計算の横に「これは何?」とメモ |
| 最後の計算ミス | 見直しの時間を確保 |
| 問いと答えがずれている | 最後に「問いの文」を再確認 |
特に、「これは何を求めている式か?」とメモする習慣は非常に効果的です。
練習法4: 国語の読解問題を算数的に解く
逆に、国語の読解問題を図式化してみるのも良い練習になります。
例: 物語の登場人物の関係
例: 説明文の構造
このように、国語でも図式化の思考を使うことで、両方の力が同時に伸びます。
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保護者ができるサポート方法
家庭でも、文章題の読解力を伸ばすサポートができます。
サポート1: 「問題文を声に出して読む」
子どもに問題文を音読させましょう。
効果:
音読させた後、「今、何を求める問題だった?」と聞くだけで、理解度がチェックできます。
サポート2: 「図を描く時間を与える」
文章題を解く前に、5分間、図を描く時間を設けるのも効果的です。
ポイント:
サポート3: 日常生活で「文章題」を作る
買い物や料理の場面で、実生活の文章題を出してみましょう。
例:
実際の場面で考えることで、文章題が抽象的な問題ではなく、現実の問題として捉えられるようになります。
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「問題文を丁寧に読んで、図を描く習慣が大事なんですね!」
🦉
「その通りじゃ!文章題は、焦らず一つひとつ情報を整理することが何より大切なんじゃよ。」
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まとめ: 文章題を克服するために
文章題でつまずく子の特徴は以下の3つでした:
1. 「何を求めるか」を見失う: 問いの本質を理解していない
2. 情報を整理できない: 関係性を把握できない
3. 問題文を正確に読めない: 斜め読みや誤読が多い
それぞれの対策は:
文章題は、国語力と算数力の両方が問われる総合問題です。図を描く習慣と、丁寧に読む姿勢を身につければ、必ず克服できます。
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この記事の執筆について
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執筆者
学びツールズ編集部
最終更新: 2025年11月
中学受験算数の指導経験をもとに、保護者の方にも分かりやすく解説しました。
文章題でお困りの際は、ぜひ参考にしてください。
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この記事の執筆について
執筆方針
この記事は、学術論文や公式データに基づき、学びツール.com編集部が作成しました。 情報の正確性を最優先し、定期的な更新を行っています。
執筆者
教育分野での経験を活かし、科学的根拠に基づいた学習情報を提供しています。
更新履歴
- 2025年11月: 初版公開
- 2025年11月: 更新