中学受験算数「図形問題」が苦手な子への教え方 - 補助線と視覚化のコツ
中学受験算数で多くの子がつまずくのが図形問題です。「図形を見ても何をすればいいか分からない」「補助線を引く場所が分からない」という声をよく聞きます。
実は、図形問題が苦手な子には3つの共通パターンがあります。この記事では、それぞれの原因と、視覚化・補助線の具体的な練習法をご紹介します。
図形問題が苦手な子の3つの共通パターン
図形問題も文章題の一種です。文章題全般の読解スキルについては算数の文章題でつまずく原因と読解力の鍛え方も参考にしてください。
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「図形問題を見ると、どこから手をつけていいか分からなくなります...」
🦉
「図形問題には『見る力』と『変換する力』の2つが必要じゃ。まずは、どこでつまずいているか見極めよう!」
パターン1: 図形を「立体的に」イメージできない
図形問題が苦手な子の最大の特徴は、平面図を見ても立体がイメージできないことです。
よくある失敗例:
たとえば、「立方体の展開図」を見せられても、どの面がどこにくるかを頭の中で組み立てられない子は、このパターンです。
パターン2: 補助線の「引き所」が分からない
図形問題の多くは、補助線を引くことで解けるようになっています。しかし、どこに引けばいいのか分からない子が多いです。
補助線が引けない子の特徴:
たとえば、「三角形の面積を2等分する線を引く」問題で、中点を通る線を引く発想が出てこないケースです。
パターン3: 図形の「性質」を覚えていない
図形問題は、図形の性質(定理や公式)を知っていないと解けません。
性質の理解が不足している子の特徴:
実際の試験では、「どの性質を使うか」を見抜く力が問われます。
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図形問題を解くための3つの基本スキル
図形問題を克服するには、以下の3つのスキルを段階的に身につける必要があります。
スキル1: 「空間認識力」の育成
図形を頭の中で回転・変形・組み立てる力です。
練習方法:
1. 展開図パズル: 実際に紙で立方体を組み立ててみる
2. 積み木遊び: 実物を使って空間感覚を養う
3. 回転問題: 図形を90度・180度回転させた絵を描く練習
4. 鏡像問題: 左右反転した図形を描く
たとえば、「立方体の展開図11種類」を全部自分で描いてみることで、どの面がどこにくるかの感覚が身につきます。
スキル2: 「補助線パターン」の習得
補助線には、実はよく使われるパターンがあります。
代表的な補助線パターン:
たとえば、「台形の面積」を求める問題では、高さの線を引くのが定石です。このパターンを知っているかどうかで、解けるスピードが変わります。
『この補助線で合っているか?』と自問する力(メタ認知)について詳しくはメタ認知を鍛える勉強法を参照してください。
スキル3: 「図形の性質」の実感
公式や性質を丸暗記ではなく、実感として理解することが重要です。
性質を実感する方法:
たとえば、「円周角の定理」を暗記するだけでなく、実際に円を描いて角度を測ることで、定理の意味が腹に落ちます。
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「補助線のパターンを覚えれば、問題が解けるようになるんですね!」
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「その通りじゃ!図形問題は『パターン認識』の要素が強いんじゃよ。次は具体的な練習法を見てみよう。」
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段階的な図形問題の練習法
図形問題を克服するには、易しい問題から段階的に練習することが大切です。
ステップ1: 基本図形の性質を確認
まずは、図形の基本性質をしっかり理解しましょう。
練習問題例:
1. 正方形の対角線は垂直に交わり、長さが等しい → 実際に描いて確認
2. 二等辺三角形の頂角の二等分線は底辺を垂直に二等分する → 作図して確認
3. 円の接線は半径と垂直 → コンパスで描いて確認
これらを実際に手を動かして確認することで、抽象的な知識が具体的な実感に変わります。
ステップ2: 補助線パターンを練習
次は、補助線を引く練習です。
練習問題例:
1. 台形の面積: 高さの線を引く
2. 平行四辺形の面積: 高さの線を引く
3. 三角形の面積: 底辺に垂線を引く
最初は、「どこに補助線を引くか」を先に教えてあげましょう。何度も繰り返すうちに、自分で気づけるようになります。
ステップ3: 複合問題にチャレンジ
基本が身についたら、複数の知識を組み合わせる問題に挑戦します。
練習問題例:
1. 「相似な三角形を見つけて、辺の比を求める」
2. 「円と三角形の複合問題で、角度を求める」
3. 「立体の体積を求める(断面積×高さ)」
これらは、複数のステップを踏む必要があるので、焦らず一つずつ確認しながら進めましょう。
間違えやすいポイントと対策
間違い1: 補助線を引きすぎる
→ 対策: 必要最小限の線だけ引く習慣をつける
間違い2: 図形の性質を使い忘れる
→ 対策: 問題文を読んだら「どの性質が使えるか?」とチェック
間違い3: 計算ミス
→ 対策: 図形問題は計算も複雑なので、途中式を丁寧に書く
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保護者ができるサポート方法
家庭でも、図形問題の力を伸ばすサポートができます。
サポート1: 実物で体験させる
図形は、実際に触れることで理解が深まるものです。
実物体験の例:
実物を使うことで、平面と立体の関係が直感的に分かるようになります。
サポート2: 「なぜその補助線?」と問いかける
子どもが補助線を引いたら、「なぜその線を引いたの?」と聞いてみましょう。
効果:
逆に、子どもが困っているときは、「この辺とこの辺、平行に見えるね」とヒントを出してあげるのも良いでしょう。
サポート3: 日常生活で図形を探す
身の回りには、たくさんの図形があります。
例:
日常で図形を意識することで、図形が身近な存在になります。
図形問題に取り組むモチベーション維持には勉強のやる気が出ない時の対処法も効果的です。
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「図形問題は、実物で確認しながら補助線のパターンを覚えることが大事なんですね!」
🦉
「その通りじゃ!図形は、手を動かして実感することが何より大切なんじゃよ。」
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まとめ: 図形問題を克服するために
図形問題が苦手な子の特徴は以下の3つでした:
1. 空間認識力の不足: 立体をイメージできない
2. 補助線の引き所が分からない: パターンを知らない
3. 図形の性質を覚えていない: 実感として理解していない
それぞれの対策は:
図形問題は、手を動かして実感することで必ず克服できます。焦らず、一つひとつのパターンを身につけていきましょう。
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この記事の執筆について
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執筆者
学びツールズ編集部
最終更新: 2025年11月
中学受験算数の指導経験をもとに、保護者の方にも分かりやすく解説しました。
図形問題でお困りの際は、ぜひ参考にしてください。
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この記事の執筆について
執筆方針
この記事は、学術論文や公式データに基づき、学びツール.com編集部が作成しました。 情報の正確性を最優先し、定期的な更新を行っています。
執筆者
教育分野での経験を活かし、科学的根拠に基づいた学習情報を提供しています。
更新履歴
- 2025年11月: 初版公開
- 2025年11月: 更新