やり抜く力(グリット)を育てる中学受験勉強の進め方 - すぐ諦める子への声かけ
近年、教育界で注目を集めているのが「グリット(Grit)」という概念です。心理学者アンジェラ・ダックワースが提唱したこの能力は、「才能」や「IQ」以上に成功を左右する力とされています。
特に中学受験では、長期間の努力が求められるため、グリットの有無が合否を分けるといっても過言ではありません。グリットは非認知能力の一つで、認知能力との違いについては認知能力と非認知能力の違いとバランスよく伸ばす勉強法で解説しています。この記事では、グリットとは何か、そして受験勉強でどう育てるかをご紹介します。
グリット(やり抜く力)とは何か?
🧑
「グリットって、どんな力のことですか?」
🦉
「グリットは『情熱』と『粘り強さ』を掛け合わせた力じゃ。目標に向かって諦めずに努力を続ける力のことなんじゃよ!」
グリットの定義:情熱×粘り強さ
グリット(Grit)とは、心理学者アンジェラ・ダックワースが提唱した概念で、長期的な目標に向かって努力を続ける力のことです。
グリットの2つの要素:
1. 情熱(Passion): 目標への強い興味と関心
2. 粘り強さ(Perseverance): 困難に直面しても諦めない力
たとえば、「算数が苦手だけど、毎日コツコツ問題を解き続けて克服した」という子は、グリットが高いと言えます。
グリットが高い子の特徴
グリットが高い子には、以下のような共通点があります:
行動面:
心理面:
グリットとIQの違い
|------|------------|------------------------|
| 測定方法 | IQテスト | 行動観察・質問票 |
|---|---|---|
| 変化 | ほぼ固定 | 育てられる |
| 成功への影響 | 短期的に重要 | 長期的に決定的 |
| 受験での役割 | 問題を解く力 | 努力を続ける力 |
ダックワースの研究では、「グリットが高い人は、IQが同じでも成功する確率が高い」ことが示されています。
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中学受験でグリットが試される3つの場面
中学受験では、グリットが特に試される場面があります。
場面1: スランプに陥ったとき
受験勉強では、必ず「伸び悩みの時期」があります。
よくあるスランプの兆候:
グリットが低い子の反応:
グリットが高い子の反応:
場面2: 苦手科目に直面したとき
誰にでも得意・不得意があります。
よくある苦手科目の例:
グリットが低い子の反応:
グリットが高い子の反応:
場面3: 本番直前のプレッシャー
受験直前は、精神的なプレッシャーが最も大きくなります。
よくあるプレッシャーの例:
グリットが低い子の反応:
グリットが高い子の反応:
🧑
「グリットが高い子は、困難に強いんですね!でも、どうやって育てればいいんですか?」
🦉
「良い質問じゃ!グリットは『小さな成功体験』と『挫折からの学び』で育つんじゃよ。具体的な方法を見てみよう。」
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グリットを育てる「小さな成功体験」の積み重ね方
グリットは、達成可能な目標を設定し、それを達成する経験を繰り返すことで育ちます。
ステップ1: スモールゴールを設定する
まずは、達成可能な小さな目標を設定しましょう。
NG例(目標が大きすぎる):
OK例(具体的で達成可能):
小さな目標を設定することで、「できた!」という成功体験が積み重なります。成功体験の設計方法については自己効力感が低い子への声かけと成功体験の作り方も参考になります。
ステップ2: 「できた!」を記録する
達成したことを視覚化することで、自信がつきます。
記録方法の例:
たとえば、「毎日漢字10個」を続けたら、30日後には300個覚えたことになります。この積み重ねが見えると、自信になります。
ステップ3: プロセスを褒める
結果ではなく、努力のプロセスを褒めることが重要です。
NG例(結果だけを褒める):
OK例(プロセスを褒める):
プロセスを褒めることで、「努力すれば結果が出る」という信念が育ちます。
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挫折からの立ち直り方を教える方法
グリットが本当に試されるのは、失敗や挫折の後です。
方法1: 失敗を「学びの機会」に変える
失敗したとき、責めるのではなく分析することを教えましょう。
NGな声かけ:
OKな声かけ:
失敗を責めるのではなく、「次につなげる材料」として捉えることで、レジリエンス(回復力)が育ちます。
方法2: 「まだできない」という言葉を使う
「できない」ではなく、「まだできない」という言葉を使いましょう。
言葉の変換例:
「まだ」という言葉を加えるだけで、成長の余地があることが伝わります。
方法3: ロールモデルを見せる
「努力して成功した人」の話を聞かせることも効果的です。
例:
「誰でも失敗を経験する」「努力すれば乗り越えられる」というメッセージが伝わります。
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「すぐ諦める子」への効果的な声かけ5選
グリットが低い子への声かけには、コツがあります。
声かけ1: 「どこまでできた?」
「できない」と言う子に、「どこまでできた?」と聞きましょう。
効果:
声かけ2: 「どうすればできそう?」
答えを教えるのではなく、自分で考えさせることが大切です。
効果:
声かけ3: 「一緒に考えよう」
孤独感を感じさせないことも重要です。
効果:
声かけ4: 「前よりできるようになったね」
他人と比較せず、過去の自分と比較しましょう。
効果:
声かけ5: 「休憩しよう」
頑張りすぎている子には、休憩を促すことも大切です。
効果:
🧑
「グリットは、小さな成功体験と失敗から学ぶ経験で育つんですね!」
🦉
「その通りじゃ!グリットは才能ではなく、育てられる力なんじゃよ。焦らずコツコツ育てていこう。」
受験勉強のモチベーション維持には勉強のやる気が出ない時の対処法も効果的です。
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まとめ: グリットを育てるために
グリット(やり抜く力)とは:
中学受験でグリットが試される場面:
1. スランプに陥ったとき
2. 苦手科目に直面したとき
3. 本番直前のプレッシャー
グリットを育てる方法:
グリットは、一朝一夕では育ちません。しかし、日々の小さな積み重ねが、受験本番での「諦めない力」につながります。焦らず、お子さんのペースで育てていきましょう。伸びる子が持つ他の非認知能力については中学受験で伸びる子の非認知能力5つの特徴と育て方をご覧ください。
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この記事の執筆について
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執筆者
学びツールズ編集部
最終更新: 2025年11月
アンジェラ・ダックワースの研究をもとに、保護者の方にも分かりやすく解説しました。
お子さんのやり抜く力を育てる参考にしてください。
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この記事の執筆について
執筆方針
この記事は、学術論文や公式データに基づき、学びツール.com編集部が作成しました。 情報の正確性を最優先し、定期的な更新を行っています。
執筆者
教育分野での経験を活かし、科学的根拠に基づいた学習情報を提供しています。
更新履歴
- 2025年11月: 初版公開
- 2025年11月: 更新