中学受験算数「速さ・時間・距離」の文章題が解けない子の特徴と対策
中学受験算数の最難関分野の一つが「速さ・時間・距離」の文章題です。「公式は覚えているのに解けない」「何を求めているのか分からなくなる」というお子さんは少なくありません。
実は、速さの問題が解けない子には3つの共通パターンがあります。この記事では、それぞれのパターンごとに具体的な対策方法をご紹介します。
速さの問題が解けない子の3つの共通特徴
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「速さの公式は覚えたんですけど、問題を見ると何をすればいいか分からなくなるんです...」
🦉
「よくある悩みじゃな。実は速さの問題が解けない子には、3つの典型的なパターンがあるんじゃよ。一つずつ見ていこう!」
特徴1: 公式を暗記しているだけで理解していない
「速さ = 距離 ÷ 時間」という公式を丸暗記していても、なぜその式になるのかを理解していないと応用が利きません。
よくある失敗例:
たとえば、「時速60kmで2時間走ったら何km進む?」という問題で、「60 ÷ 2 = 30km」と答えてしまうケースです。公式の意味が分かっていないため、どの数字をどこに入れるべきか判断できないのです。
特徴2: 状況をイメージできていない
速さの問題は、実際の移動を頭の中で思い描けるかどうかが重要です。しかし、多くの子は抽象的な数字の操作だけで解こうとしてしまいます。
イメージ不足の典型例:
実際の移動場面を想像できないと、問題文の条件を正しく式に落とし込めません。
特徴3: 単位の変換でつまずく
中学受験の速さの問題では、単位の変換が頻繁に必要になります。しかし、これが大きな壁になっている子が非常に多いのです。
単位変換でのミス例:
たとえば、「時速60km」を「分速何km」に変換するには「60 ÷ 60 = 1km」と計算しますが、なぜ60で割るのかを理解していないと、毎回間違えてしまいます。
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「速さ = 距離 ÷ 時間」を体感で理解する方法
公式の丸暗記から脱却するには、実際の体験と結びつけることが効果的です。
実生活の例で理解させる
「学校まで2kmの道のりを、20分かけて歩いた。時速何km?」
この問題を解く前に、お子さんに聞いてみてください:
すると、「20分で2kmなら、60分だと6kmくらいかな」と感覚的に答えが見えてきます。これが「時速6km」という答えの意味です。
公式「速さ = 距離 ÷ 時間」は、「1時間あたり(または1分あたり)どれだけ進むか」を求める式だと理解できれば、暗記ではなく納得につながります。
「速さ」「時間」「距離」の関係を図で示す
公式を3つのパターンで覚えるのではなく、三角形の図で覚える方法も有効です:
```
距離
-------
速さ×時間
```
図を手で隠しながら、「求めたいもの」以外の2つを組み合わせる練習をすると、公式の変形がスムーズになります。
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「公式を変形するのが苦手だったんですけど、図で考えると分かりやすいですね!」
🦉
「そうじゃろう。公式は丸暗記より、意味を理解することが大切なんじゃ。次はダイヤグラムの書き方を学ぼう!」
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ダイヤグラム(グラフ)の書き方と読み方
速さの問題を視覚化する最強のツールがダイヤグラムです。これをマスターすれば、複雑な問題もスッキリ解けるようになります。
ダイヤグラムの基本ルール
実際に書いてみよう
問題例: 「A君は午前9時に家を出発し、時速4kmで学校に向かった。学校まで2kmある。」
1. 横軸に「9時、9時15分、9時30分...」と時刻を書く
2. 縦軸に「0km、1km、2km」と距離を書く
3. (9時, 0km)から直線を引く
4. 2km進むのにかかる時間は? → 2 ÷ 4 = 0.5時間 = 30分
5. (9時30分, 2km)に到着と分かる
このグラフを書くことで、「いつ・どこにいるか」が一目瞭然になります。
すれ違い問題・追いつき問題もダイヤグラムで解決
「AさんとBさんが向かい合って進む」問題では:
これで複雑な条件も視覚的に整理できます。
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単位変換を徹底的にマスターする方法
単位変換は、仕組みを理解すれば機械的にできるようになります。
時速 → 分速 の変換
「時速60km」を「分速」に直すには?
考え方:
公式化すると: 時速 ÷ 60 = 分速
分速 → 時速 の変換
「分速800m」を「時速」に直すには?
考え方:
公式化すると: 分速 × 60 = 時速
単位変換の練習問題を毎日解く
単位変換は慣れが重要です。次のような問題を毎日3問ずつ解く習慣をつけましょう:
1. 時速72kmを分速に直しなさい
2. 分速900mを時速に直しなさい
3. 秒速5mを時速に直しなさい
最初は時間がかかっても、1週間続ければスムーズにできるようになります。
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実践的な解き方のコツ
ステップ1: 問題文を図式化する
問題文を読んだら、まず簡単な図を描く習慣をつけましょう。
これだけで、問題の全体像が見えてきます。
ステップ2: 「求めるもの」と「分かっているもの」を整理
この確認をしないと、「何を計算すればいいか分からない」という状態に陥ります。
ステップ3: 単位を統一してから計算
計算前に必ず単位をチェックしましょう。「時速」と「分速」が混在していたら、どちらかに揃えます。
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「図を描いて整理してから解くと、間違いが減りそうです!」
🦉
「その調子じゃ!速さの問題は、焦らず丁寧に手順を踏むことが何より大切なんじゃよ。」
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まとめ: 速さの問題を克服するために
速さの文章題が解けない子の特徴は以下の3つでした:
1. 公式暗記型: 公式の意味を理解していない
2. イメージ不足: 移動の様子を頭で思い描けない
3. 単位変換ミス: 時速・分速・秒速の変換でつまずく
それぞれの対策は:
速さの問題は、中学受験算数の中でも特に「練習量」が結果に直結する分野です。焦らず、一つひとつの問題を丁寧に解いていきましょう。
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この記事の執筆について
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執筆者
学びツールズ編集部
最終更新: 2025年11月
中学受験算数の指導経験をもとに、保護者の方にも分かりやすく解説しました。
速さの問題でお困りの際は、ぜひ参考にしてください。
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この記事の執筆について
執筆方針
この記事は、学術論文や公式データに基づき、学びツール.com編集部が作成しました。 情報の正確性を最優先し、定期的な更新を行っています。
執筆者
教育分野での経験を活かし、科学的根拠に基づいた学習情報を提供しています。
更新履歴
- 2025年11月: 初版公開
- 2025年11月: 更新